東京高等裁判所 昭和29年(う)1678号 判決
被告人 吉野清治
〔抄 録〕
論旨第一点について。
本件起訴状記載の公訴事実中、受傷者及びその傷害の部位程度の点につき「佐藤定伊外十一名に対し治療一週間乃至三週間を要する打撲傷、挫傷等を与えた」旨表示していることは所論のとおりであるが、右公訴事実全部を通読すれば、被告人の本件業務上過失致死、同傷害の行為は、いわゆる想像的競合犯の場合に該ることが明らかであり、従つて前記佐藤定伊外十一名に対する業務上過失傷害の点は小田島仁蔵に対する同致死を包括した一罪の一部に過ぎないばかりでなく、右受傷者十二名の傷害の部位程度も一週間から三週間までの治療日数を要する打撲傷又は挫傷或はその双方であることを推知し得られるから、この程度の表示を以て所論のように訴因の特定を欠くものということはできない。それ故、本件起訴状における訴因の不特定を前提として、該公訴を受理した原審の措置を非難する論旨は誤れる前提に立つものであつて理由がない。